今日の日経クロステックに「地方ゼネコンが建設DXを主導、100億円規模のファンド運営目指す」という記事が掲載されていました。
静岡県三島市に本社を置き、建設テック事業も手掛けるゼネコン加和太建設が、地方ゼネコンとスタートアップをマッチングするオンラインコミュニティー「ON-SITE X(オンサイトエックス)」を立ち上げ、すでに地方ゼネコンやスタートアップ企業、金融機関など15社が参加しているとのこと。
今年後半には「建設DXファンド」も立ち上げ、建設DXに取り組むスタートアップ支援にも乗り出すようです。
地方ゼネコンが社会課題解決に取り組み始めた
加和太建設はもともと、三島から世界に羽ばたくスタートアップを育てる事業「LtG Startup Studio」を運営する中で、建設業とスタートアップとのコミュニケーションに問題があると感じた社長が、相互理解の場の必要性を感じ、立ち上げた事業でした。
地方ゼネコンの多角化は昔から取り組まれており、農業や観光業など所有する人材やアセットを活用して異分野に参入する事例はありましたが、本件は本業で得た気づきや課題認識を基に、自らの課題解決をビジネスにするという点で新しさがあります。
加和太建設の組織図を見ると、本業の施工部門以外に、まちづくりやコンサルティングにとりくむ「不動産事業本部」、公共施設の運営を行う「施設運営事業本部」、建設DXに取り組む「次世代事業本部」など、本業の周辺領域でビジネスを展開し、相乗効果を発揮している様子がうかがえます。
(出典:加和太建設HP)
同じく地方都市では、名古屋の建設会社、千年建設が、住まい探しに困難を抱える女性をワンストップで支援する社会課題解決型賃貸住宅「LivEQuality」事業を展開しており、注目を集めています。
(出典:LivEQquality HP)
不動産を取得し、リフォームを行ったうえで入居者を募集したうえで、地域の様々な支援者につなげるというもの。
地方に根差した建設会社だからこその信頼関係とネットワークをフル稼働させ、社会課題の解決に取り組んでいます。
(出典:LivEQquality HP)
本業を通じた社会課題解決は、自治体のパートナーとなるための第一歩
地方都市は、顔の見える関係が作りやすいもの。
そしてそんな地域にあるゼネコンは、家づくりや店舗づくりを通じて地域住民や企業との幅広いネットワークを有しています。
今回は、地方ゼネコンが社会課題の解決に乗り出し、収益を生み出すモデルケースをご紹介しました。
官民連携事業の本質は、「行政と一緒に、地域課題を解決するパートナーとなること」です。
実績がないなかで官民連携事業を獲得することが難しく感じられるなら、まずは本業の延長として地域課題の解決に取り組んでみてはいかがでしょう。
地域の課題が明確になってきたら、それを行政と一緒に解決できないか考え、自治体職員に提案してみてください。
このようなプロセスを繰り返すことで、おのずと自治体側から「提案力や課題解決力のあるパートナー」と評価されるようになり、きっと様々な相談が舞い込むようになりますよ。
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